プライバシーの権利には2つの大きな特徴があります。権利侵害が起こると回復は不可能なことと、権利侵害の判断基準を定められないことです。今回は、前者について考えてみます。

一旦侵害されたプライバシーは、回復できません。他人に知られたくないことを(例えば離婚歴や病歴など)他人に知られてしまったら、忘れてもらうことは困難です。一般にほとんどの権利侵害は、金銭や物で回復が可能であることと異なります。つまりプライバシー侵害は、殺人と同じで一旦侵害されると回復が不可能であることから、プライバシー侵害が発生する前の予防措置がとても重要となるのです。特にコピーが容易なIT社会では、ネットワークに投稿されると一瞬でコピーされて伝搬し、それを消し去ることは更に不可能です。

知られてしまったことが事実ならまだ諦めがつくかも知れませんが、全く身に覚えの無いことが伝播してはたまりません。このような事例で2012年に裁判となりました。

予測検索、差し止め請求 グーグル米本社を提訴

日本人男性が数年前、勤務先を突然辞めさせられ、就職活動で採用を拒まれたり、内定を取り消されたりしたことがあった。男性は不審に思い、調査したところ、グーグルの「サジェスト(予測)機能」で、自分の名前を入力すると、無関係の犯罪行為を連想させる単語が検索候補になり、選択すると中傷記事が表示されることがわかった。グーグル側に文言の削除を求めたが応じてもらえなかったことから、男性は、米グーグル本社に表示差し止めを求める仮処分を申請し、2012年3月19日、 東京地裁は申請を認める決定をした。

 

このような問題からか、ヨーロッパでは「忘れられる権利」が注目され、2012年に欧州委が「忘れられる権利」を盛り込んだプライバシー保護規制の改正案を提出しています。